最近、SNSで見る野球の指導方法に危険を感じることが増えています。特に、ぱっと見ると理論的に見えるものの、実は選手の体に過度な負担をかけるような指導が目立つようになっています。今回は、そんな危険な指導方法について、そしてなぜそれが問題なのかをお話ししたいと思います。
1. 膝を無理に曲げさせて体重を乗せる?
「膝を曲げろ!体重を乗せろ!」といった指導を目にすることがありますが、これがどれだけ危険かを理解している人は少ないかもしれません。無理に膝を曲げさせ、体重を乗せることで、関節に大きな負担がかかります。特に成長過程にある選手にとっては、膝や腰、さらには背骨にまで影響を与える可能性があります。ちなみにですが、私の後輩で高校三年間、膝痛でまったく練習に参加できなかった選手がいました。中学時代は怪物扱いされるような選手でした。こうした関節の故障は本当に怖いです。
もちろん、体重移動は野球において重要ですが、自然に体重が移る感覚を身につけることが大切です。無理に意識させることで、選手は逆に体を硬くし、パフォーマンスが落ちてしまいます。
2. フォロースルー時の「押し込み」指導
さらに怖いのが、フォロースルー時に後ろから「押す」ことで、体重移動を感じさせようとする指導法です。一見すると、「これが体重移動を感じる方法だ!」と感じるかもしれませんが、実は非常に危険です。無理に体を操作してしまうことで、フォームが崩れやすくなり、最終的には投球やバッティングのパフォーマンスに悪影響を与えることになります。皆さんも普通に歩いていて、もし後ろから勢い付けられたらどう感じますか?わかっていても「後ろ」というのは見えないですし怖いものです。それを小学生にやるのはなおさら危険でしょう。
結果的に、選手が自分の体を意識しすぎてしまうと、逆に体の動きが硬直し、パフォーマンスが出なくなることが多いのです。体重移動や力の伝達は、体が自然に動くことで初めてスムーズに行われます。
3. 意識的なリリースポイント変更
最近、リリースポイントを意識的に変化させるために体を操作させる指導もよく見かけます。主に、やり投げを意識したり、プロ野球選手も使用している器具を使用したりしたものです。実はこれも非常に危険です。プロ選手でもリリースポイントは自然に決まる(決める)ものです。それをわざわざ意識して変えようとすることで、投球のスムーズさが失われ、肩や肘に負担をかけることにもなりかねません。
プロ選手が言うことに耳を傾けてみましょう。彼らはあまり難しいことを言いません。むしろ「リラックスして、自然に体を動かせばいい」といったシンプルなことを大切にしています。有名な動画で工藤公康投手が内海投手に「低く投げろ」と言うのがあります。いちいち細かく、リリースポイントが・・・とか言いません。結局は、体の使い方を細かく意識しすぎると、逆に体を自由に使えなくなり、結果的にパフォーマンスを発揮できなくなってしまうということでしょう。
4. まとめ:シンプルに考えよう
野球は決して複雑なスポーツではありません。もちろん、動作は千差万別ですし、その中でも共通して危ない動作はあります。ですが、一番大切にしたいものは、自然な体の動きと感覚を大切にし、選手が無理なくプレーできる環境を整えることではないでしょうか。過度に意識させる指導が、選手の成長を妨げることがあります。
これから指導を受けるアマチュア選手やその指導者の皆さんには、ぜひシンプルに考えてもらいたいと思います。プロの選手たちも、自然に体を使っているからこそ、すごいプレーができるのです。指導者は、選手一人一人の体の特性に合わせた、無理なくできる方法で教えていくことが求められます。
無理に体を操作することなく、選手が自分の感覚でプレーできるような指導が、選手にとって最も効果的であることを基本にしたいですね。
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